『酒 日本に独特なもの(原題Le Saké, une exception japonaise)』は、フランスの若手地理研究者ニコラ・ボメール氏が、パリ=ソルボンヌ大学へ提出した博士論文を書き改めたもので、博士論文は2011年の渋沢・クローデル賞を受賞しました。
新潟大学では2018年に新潟県酒造組合および新潟県と連携して日本酒学センターを設立し、その一環として本書の翻訳プロジェクトを始めました。本著の翻訳刊行により、フランスにおける日本酒研究の成果を紹介してこの分野における国際交流の端緒とすること、日本酒を研究する視点の多様性に気づく契機となることが期待されます。また、日本では日本酒学は農学研究者が中心ですので、地理学からのアプローチである本書を紹介することで、日本の人文社会科学分野の日本酒研究への刺激となることも目指します。
本書は、新潟大学の教員を中心に、フランス語教室主宰者や酒造会社の従業員、新潟市の財団関係者など、日本酒をこよなく愛し、フランス人が日本酒をどのように分析・評価しているかに強い関心を寄せる新潟在住の7名によって翻訳されています。本書の刊行は、このようにテーマごとに大学が核となって異分野・異業種の専門家を結集し、一つの成果を発表するプロジェクトとしても位置付けられます。
『酒 日本に独特なもの』
ニコラ・ボメール著/寺尾仁監訳/晃洋書房